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正しい『ピンイン記号理解』の重要性についての考察

日本人の中国語学習者(初級、中級者)にとって、中国語発音の不確かさの最も大きな原因は、発音記号である拼音表記(以下『ピンイン記号』)の理解が十分でないことに起因しています。此の事は、多くの初学者を指導してみて、特に感じる点です。初学者が間違った中国語発音になる最も大きな要因は、『ピンイン記号』を無意識に(或いはうっかり)ローマ字読みしている事は、発音の間違え方から容易に想像出来ます。従って、日本人生徒にとって陥り易い『ピンイン記号』の理解不足の原因箇所を指導者側が特に意識的に修正指導しなくてはなりません。中国人講師の中には、「日本人の母国語からのなまり」と表現して、その修正指導をあきらめる場合もあります。正しい中国語発音の為には、比較的早い時期に学習者の『ピンイン記号』への正しい認識を定着させる必要があります。台湾において発音指導に使用される『注音発音記号』(1958年までは現在の中国大陸でも使用されていた)での学習者には、注音記号自体の理解不足以外には、この様なローマ字読み間違いは起こりません。中国語の初中級学習者にとって、正しく認識された『ピンイン記号』での発音技術が、その後の中国語学習でもっとも重要な要素であることは論を待ちません。言い換えれば、正しい『ピンイン記号』の理解が無くては、中上級者への道は閉ざされているに等しいことになります。何故なれば、新しく習得した、単漢字、熟語を中国人に正しく聞こえる発音で伝えることが出来ないからです。

 更に注目すべき点は、ネイティブの中国人は、中国語の発音を幼くして両親などからの発音を耳にすることで、自然にその発音を習得した後に、学校等で『ピンイン記号』を習っていることです。日本人の子供が『あいうえお』の文字を習うことと同じです。逆に我々日本人が大人になって中国語を学習する場合は、『ピンイン記号』を習ってから「中国語の発音」を習得しなくてはなりません。此の事は全く逆の学習プロセスなので、真似をする能力の衰えている成人にとって、言葉による説明での『ピンイン記号の正しい理解への指導』こそが、最も重要な指導項目になる理由です。

 中級学習者によく見られる状態は、書き文字に頼らざるを得ない状況、即ち文字に書いたものでしか中国語が理解出来なくて、結果的に、耳、口を使ってしゃべるという、言語として最も大切な機能を欠いた中国語の能力になってしまいがちです。此の事は、別名『さまよえる中級中国語学習者』とも呼ばれています。

当塾では、初級、中級学習者への『ピンイン記号』での発音技術の習得に最も力を入れて、独自の共通教材を使用して指導を行っています。

                                      塾長 原田雅道

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